死ねば人間だって動物に食われる…


冬山から下山してきた知り合いの山男から電話があった。
「gakuさんよう、大ニュースだぞ!
 中央アルプスの稜線に冬でもキツネが棲んでいることがわかった、ぞ
 山小屋に居てなぁー 10mほどまで近づいてきた姿をみると、間違いなくキツネだった
 標高2800mの寒風吹きすさぶ稜線だ、ぜ
 何を餌にして生きているのだろう…か?
 餌なんて、あるのかなぁー …」
夏のシーズンには、中央アルプスのハイマツ帯の尾根にもキツネがいることは知っていた。
冬は、ノネズミはみんな雪の下で生活しているから、キツネは食べるものがなくて生きてはいられないので、下界に降りてくるものとボクは信じていた。
しかし、このニュースはこれまでの認識を変えてくれたから、確かに「大ニュース」だと思う。
そういえば、3年ほど前の厳冬期に稜線で遭難者の遺体が見つかった。
遭難して5日ほどしか経ってなかったが、発見時には雪の上に出ていた手と顔が何者かに食べられて無くなっていた…
そんな話題が、実際に捜索にあたった救助隊員から伝えられたものだった。
このときボクは、オコジョだって冬になれば山麓まで降りてくるのだから、あんな稜線にキツネは絶対に棲めないと思っていた。
だから、遺体を食べたのは、翼のあるイヌワシかクマタカの仕業しか考えられなかった。
しかし、今回のキツネ目撃談を知ると、遭難者を「食べた」のはキツネの可能性がでてきた。
いや、まちがいないだろう…

人間だからといって、魂のなくなった物体は肉食性の野生動物には単なる「餌」でしかない。
人間社会でどんなに地位のあった人でも、肉食動物たちからみれば、それがご馳走か否かの判断しか下さないからだ。
それが自然界に生きる生物の役目であって、こういう世界のあることも現代人は記憶の隅に留めておいたほうがいいだろう。
こういう世界のあることを知らないより知っていたほうが、自然界を的確に見つめることができるから、である。
写真:
1)中央アルプスの稜線は寒風と雪が深く、そして急峻だが、そこにキツネが厳冬期でも生息していることが分かった。
2)雪の夜を徘徊するキツネだが、肉食性の彼らは生物の死体処理も担うスカベンジャーなのだ。

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死ねば人間だって動物に食われる… への4件のコメント

  1. 北の狩人 より:

    私の所では、峠付近の積雪が2mにもなります。数は少ないのですがキタキツネは生息をしていてそれなりに生きています。
    中央アルプスの稜線は私の所と比べてどの程度かは分かりませんが、もし稜線から樹林までの距離が2~3km程であれば、キツネの行動範囲からすると納得出来るエリヤだと思います。
    私がいつも効率良くキツネ猟をする場所は平坦地と沢の多い所で、キツネが生息には楽な所でキツネの移動距離も短いのですが、峠付近のエサが不足している所は1日の移動距離も多くなっています。

  2. stma より:

    昨年、私の親父が亡くなったのですが、亡くなる数日前から、いつもとは違う微かな臭気が、親父の身体から漂ってきました。
    もしやと思っていたのですが、やはり少しずつ臭気が強くなってゆき、親父は数日後に逝ってしまいました。
    あの匂いが俗に言う「死臭」というヤツだったのでしょうね。
    医療の発達によって、臭気が漂い始めてからの数日間は、人としての生命が維持されていましたが、死臭が漂いはじめたときにはすでに、生物としての「死」だったのでしょうね。
    自然界にあっては、死臭こそが「死」のサインであり、肉体的な生死に関わらず、生物から「餌」となった証として、風に乗って肉食動物などに周知されてゆくのでしょうね。

  3. あーる より:

    当地に越して来た最初の冬、こんな寒いところで生きて行けるのか、と思ったものですが、10年程前からなにか冬の寒さにキレがないというか、冬がゆるゆるしてるような気がします。
    今も、先日の雨のせいで中央アルプスの下の方の黒いところがずいぶん広がってしまったような。
    そんなことも関係があるのでは、と思いますが。

  4. gaku より:

    ■北の狩人 さん
    稜線と森林帯までは、1kmくらいですが、それにしても稜線地帯は風も強く厳しいところです。
    しかし、そこは野生動物なので、私たちの予測外の行動をとるのが「普通」なのでしょうね。
    ■stma さん
    知り合いに消防の救急隊長がおりますが、交通事故などで救急車で出かけても、すでにダメな場合は「臭い」が違うといっていますね。
    これは、現場での確かな感覚だと思います。
    野生動物は、それを人間よりもっと的確に敏感に感じとるのが「普通」なのでしょうね。
    ■あーる さん
    昔、タヌキが生きたニワトリを襲う現場を目撃しましたが、このボクでも一瞬ゾッとするような表情を見せたのには「鳥肌」がたちました。
    まあ、野生動物は人間とはちがいますので、人間のモノサシは捨ててかかることにしています。