獣害を考える 9 「執念でニホンジカと戦う男」


福井県敦賀市で、ギョッとする光景にであった。
畑をありあわせのものでぐるりと手づくりフェンスで巡らせていたからである。
獣害フェンスといえば、電気柵に代表されるように、ある程度シンプルにフェンシングされているものである。
それだけに、ここのフェンスは異様さを物語っていた。
あたかもそれは、チベットの奥地に見られるような宗教上の所作のようにも見えたからである。

すかさず車を止め、小雨の降るなかをさっそくフェンス研究にはいった。
竹、ロープ、ゴム紐、針金、イボ竹、鉄棒、空き缶、ペットボトル、アルミホイル、アルミシート、CD、布切れ、幟旗、プラスチック片、…
どれをとってみても、買ってきたものではなさそうだった。
すべてが、拾いものなどの廃物利用。
しかも、一点々々に丁寧な加工が施されていて、それなりに意味をもたせてあった。
風が吹けば微妙に音がでたり、揺れたり、光ったり…

耳のいいニホンジカや鼻のいいイノシシを相手にするには、やはり視聴覚嗅と、いろんな角度から攻めて獣害をはたらく彼らにストレスを与えなければならない。
そのところをうまく心得ていて、「くすぐって」いた、からである。
これなら、たしかにそれなりの効果もあるだろう、と思った。

こんなことをするのは、知恵も経験もあるお年よりの男の人にちがいない。
その人に会ってみたかったが、留守だった。
それにしても、景観的にはあまり感心できないフェンスである。
町づくり委員会なるものがあって、景観を論じる部会でもあれば必ずや問題になるのではないか、と思った。
いや、こういう風景をみても、何も感じない委員会もあるから、これでいいのかも知れない、とも思った。

しかし、それにしてもこの執念は見事だ。
次回は、この作業をやった人にどうしても会って話を聞きたいので、敦賀市まで再度出かけてみることにしよう。
写真:
1)国道のカーブを曲がると、いきなりこの光景が飛び込んできたのにはたまげた。
2)いやーそれにしても、これはスゴイ。
3)いろんなパーツをそれなりに工夫してあって、ボクには意味がわかるから、見ていて楽しくなった。
4)畑の中は、きれいな空間が広がっていて、それなりの効果をみせていた。
5)紐1本にしても、丁寧に加工している作業は根気のいいお年よりにしかできない仕事にちがいない。

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獣害を考える 9 「執念でニホンジカと戦う男」 への9件のコメント

  1. あーる より:

    >町づくり委員会なるものがあって、景観を論じる部会でもあれば…
    これはアートだっ。と言い張る手もありかと。
    うーん、勉強になります。ただ囲って守りに入ってるだけじゃだめだ。このくらいこっちも自己主張しなくっちゃですね。

  2. うどん より:

    現代版猪垣を見るような感じがします。
    景観にそぐわないと意見を言われる方もいらっしゃるかと思いますが、確かに執念を感じます。

  3. 小坊主 より:

    私、感じ方がちょっと違って、執念が嵩じて、趣味になっているような気がします。

  4. C-NA より:

    遠目に見れば巨大なオブジェ?かも。
    ここまでやれば凡人が見ても訳のわからない芸術よりはやはりgakuさんを思わず立ち止まらせた執念の力作。

  5. ブリスパ より:

    ほんとうに「理にかなった」というより、
    「執念」あるいは「意地」という感じですね。
    防御中心なのでしょうが、なんとなく、
    「仕掛け」もあるような気がします。
    敦賀は、GWが終わったら、2週間ぐらい行く予定にしています。

  6. おいかわ飯店 より:

    立派なものです。
    ここまでできるのは、実は、これらのものを作るのに生甲斐を見つけたのだと思います、少なくとも、苦行ではなかったはずです。この戦いは、何時までも続きそうですね。

  7. gaku より:

    ■あーる さん
    そうです、自己主張してください。
    近くに水が流れていれば、すごくオモシロイことができますよ。
    ■うどん さん
    執念は大切ですね。
    ここに、ちょっとアイデアが提供されれば、この畑も完璧に防御できると思います。
    景観はともかくとして…。
    ■小坊主 さん
    趣味…、わかるような気がします。
    オタクも、大切ですし。。
    ■C-NA さん
    うん、まさに執念の力作がある種の芸術にもなっているような!?
    ■ブリスパ さん
    防御一辺倒で、仕掛けはなかったです。
    なので、こんどこの人に会ったら、「仕掛け」を伝授するつもり。
    この人なら、面白がってやってくれそう…!
    ■おいかわ飯店 さん
    苦行ではなかったかもしれないけれど、やっぱりそれだけ繰り返し被害に遭った結果の作品だと思います。

  8. 自由飲酒党総裁 より:

    友人が教えてくれた新聞記事です。http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100407k0000e040016000c.html
    匂いだけでは慣れるでしょうから、視覚を刺激して成功しているのでしょうか。

  9. gaku より:

    ■自由飲酒党総裁 さん
    新聞記事読みました。
    樹木のファッションショーには笑えましたが、数ヶ月でシカも慣れてしまうことでしょう。
    獣害対策は、視聴臭触覚の4点攻めがイチバンですので、この方法にいくつかのバリエーションをつけることですね。
    それも、根気よく続けていかないと効果も期待できません。
    まあ、オモシロイ秘策がありますので、やる気があるところには伝授しますんで。