今年は、ほんとうに天候不順だ。
ここのところ、一日おきに、雨が降っているではないか。
今日なんかは、朝からどしゃ降りである。
この雨のなか、中央アルプスにあるオイラの野外スタジオまで行ってきた。
そこには、小さな小屋もあり、電気を通してある。
しかし、今冬はまったく使うことなく、放ってしまっていた。
その小屋の近くに、樹齢100年以上のサワラの木が1本ある。
なんの変哲もない木だが、樹洞ができていて、そこにテンがときどきやってきては冬の宿にすることがある。
ちょうど3年前にもテンが棲みついていたらしく、おびただしい量のため糞が木のまわりに証拠品として積み上げられていた。
なので、そんな発見をいちどしてしまうとオイラは、その後も気になって何年でもチェックするという習性がついてしまっている。
そのサワラの木を覗くと、今冬もテンが使ったらしく、ため糞が見られた。
去年はまったく気配がなく、今回は、3年前と同じ枝上に見事に糞をためてあった。
なので、今冬もテンは確実にきていたのだった。
雨で滑りやすいサワラの幹を3mほど登り糞に近づけば、カモシカの体毛がかなり見られた。
どこかにカモシカの死体があって、テンはそこへ通っていたのだろう。
そして、カモシカの体毛の下には、おびただしい量の植物の種子の混じる糞も見られた。
こうしたちょっとした観察から、テンの行動を知り、生態を探る想像がたのしい。
なので、このサワラの木には、今後も必ずテンはやってくると思う。
どんなテンが、どんな顔をして、この木を上り下りしているのかと思うと、創造の夢もふくらんでしまう。
雨だったけれど、やはりフィールドにはどんなことがあっても出かけていたほうがいい。
テンの行動をしっかり観察できるようになるまで、あと数年は、このサワラの木もオイラのチェックポイントになりつづけることだろう。
写真:
1)サワラの木は、なかなかに存在感がある。
2)なぜに、こんな場所にため糞をするのか、テンの心理を思うと不思議でならない。前回もまったく同じ場所が糞場になっていた。
3)白いのはカモシカの体毛。
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テンがサルナシを食べることが報告されているので、情報検索をやっています。古い論文でテンの糞の分析レポートがあります。本文は見れませんが、英文要旨がおんらいんにありました。
木曾駒ヶ岳の哺乳動物に関する研究 第II報 本曾駒ヶ岳東斜面低出帯上部におけるホンドテンの秋季ならびに冬季の食性―特に糞の内容の分析を中心として―
http://hdl.handle.net/10091/2301
信州大学農学部紀要 13(1): 21-42(1976)
これによると、テンは雑食性であるが冬の餌に動物が多く、ノウサギが主でネズミ類と昆虫類が多い。カモシカの毛が多量に出た糞も1つあった。植物ではサルナシ、マタタビ、アケビが多い。
ノウサギがメインディッシュでデザートがサルナシ、という贅沢な奴らですね。
上の論文の本文がダウンロードできます:
https://soar-ir.shinshu-u.ac.jp/dspace/bitstream/10091/2301/1/Agriculture13-01-03.pdf
■beachmollusc さん
いつもありがとうございます。
これまでにも、テンの冬巣はいくつか見てきていますが、どうしてああも糞だらけにしているかということが謎なんです。
糞で存在を示している、のか…?
とにかく、巣穴の中にもいっぱいの糞があるんですよ。
それでいて、毛皮は「美しい」のですから、人間の感覚で彼らを語れないところが魅力的でもあります。