獣害を考える 10 「赤外線カメラで野生をさぐる」


獣害コンサルタントとして、クライアントに説明するにはいろんなシチュエーションを想定して考えておかなければならない。
そのための視覚言語となる生態に忠実な写真も、撮影しておかなければならない。
とくに、野生動物の習性などは、素人さんにきちんと説明できるようにもしたい。
それには、野生動物に警戒心をいだかせない赤外線カメラが必要となった。
とにかく、野生動物をこれまでの可視光線で撮影すると、どうしてもストロボ光が強力なために警戒心を起こさせてしまう。
このため、正確な行動を読めないこともよくあるからだ。
赤外線だと、ストロボ光の「可視光線」をカットすることができるから、夜行性動物の行動把握にはきわめて有効だ。
そのためには、ストロボは簡単に自作できるが、カメラが問題だった。
ところが、いまのデジタルカメラの受像部分であるCCDには赤外線感知領域がある。
その感知領域だけを使えば、赤外線専用カメラになるハズだ。
そこで、CCDに付属しているローパスフィルターを外してしまえば、赤外線カメラに変身となる。
もちろん、画像を安定させるためのローパスフィルターを撤去すれば、ピント精度や画像のシャープネスは期待できない。
しかし、作品としての映像より、何が映っているのかといった「証拠」のほうがここでは重要になってくる。
自己責任ですべてを製作してみた、のである。
こうして、デジタル一眼の赤外線カメラが完成した。
そして、テスト撮影したところ、案の定カメラをまったく警戒しないハクビシンの姿が写った。

今回は、ハクビシンをもし捕獲するとすれば、どのような方法が効率的かといったテーマだった。
野菜コンテナを罠にみたてて、ハクビシンがどう行動するのかを撮影しながら観察してみたのである。
もちろん、これはアライグマにも応用できる。
この撮影は、日本の在来野生動物とハクビシンやアライグマの行動差を通して混獲をどう避けるかというものだ。
結果は、まさに、狙いどおりだった。
赤外線カメラの効率は期待以上であり、今後はいろんなところで結果をだしていくことだろう。
とにかく、ニホンジカなどは増えすぎてすでに人間のコントロールをなくしてしまっているから、大量捕獲装置を考えていく時代になった。
そのためにも、このような赤外線カメラによる監視は必要なのだ。
捕獲にもちょっとしたアイデアが要求されるので、相手の野生動物をより深く探っていく意味でも赤外線カメラの開発は大切なこと、だった。
写真:
1)2010年5月30日に初めて設置した赤外線カメラとコンテナだが、その晩はハクビシンがコンテナにかなり警戒していた。
2)翌日の5月31日からは、コンテナにもすっかり慣れた行動をはじめた。
  こうした、地道な行動観察から次なる結果へとアイデアを出していけばいいのである。

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獣害を考える 10 「赤外線カメラで野生をさぐる」 への5件のコメント

  1. 小坊主 より:

    >行動差を通して混獲をどう避けるか
    なるほど。
    混獲を避けながらも、効率よく捕獲するには、行動の研究は、必須ですね。
    獣害は、そのさなかにある者にとっては、死活問題になりかねませんから、こういう研究は、時代が要請していると思います。

  2. 粗忽鷲 より:

    凄いなぁ~。。

  3. もっち より:

    おおっ、僕の足りない頭では、よく理解できませんが、なんか凄いぞ。
    まったく警戒していませんね・・・思いっきり野菜コンテナに捕獲されているし。。

  4. しらとり より:

    すごいです。
    動物の行動に対する知識もですが
    無人ロボットカメラや
    赤外線カメラまで自作で造ってしまうなんて
    本当に自動害獣撃退装置を開発するのも
    夢ではなさそうですね。

  5. gaku より:

    ■小坊主 さん
    そうです、混獲をしないことも技術開発の一つだと思っています。
    ■粗忽鷲 さん
    はい、頑張ってます。
    ■もっち くん
    そのうちに、そちらへも伝授するから。
    ■しらとり さん
    >自動害獣撃退装置…
    実は、もう出来ていますよ。
    まだ、公開できないのは「パクリ」業者ばかりなので、慎重に実験を繰り返しています。