ハンディキャップに負けずに歌うホオジロ


小枝の上で、ホオジロが囀っていた。
どこにでもいるホオジロだから、それほど写欲がそそられなかった。
それでもと思ってファインダーの中に入れれば、なんとそのホオジロは片足にハンディーがみられた。
左足が、どうもいうことを利かないらしく、枝をつかむことができない。
右足だけで体を支えて、さかんにナワバリ宣言を歌っていた。
こうしてソングポストにとまって囀っているということは、このホオジロには嫁さんがいるハズだ。
そして、その嫁さんは、近所の藪の中の巣で抱卵中なのである。
そのメスには「安心して卵を抱くように…」という歌であり、周囲にいるであろうホオジロ仲間に対しては「ここは俺のナワバリだぁー」と誇示する囀り、なのである。

しかし、このホオジロには片足というかなりのハンディキャップがついている。
どこかで、脚を傷めたにちがいない。
こんな体になってしまっても、野生の世界には病院もなければ福祉もない。
だから、すべて自分の力だけで生きていくしかないのだ。
このあと、ハンディーを背負っているがために天敵に襲われるかも知れない。
抱卵中のメスがヒナをかえしたら、ナワバリ宣言をつづけながらも餌も捕らえて子育てもしなくてはならない。
メスにとっても、オスが生きていさえすれば子育てにはなんとか努力もできる。
しかし、オスの身になにかが起きれば、その時点でメスだけは助かってもヒナは助からない。
たがいに、試練の連続だろうが、彼らには自殺という二文字はない。
生命をまっとうするまで、とにかく前に向かって生きつづけるだけなのだ。
それが、野生の世界だからである。
けなげな姿、である。
いろいろと、教えられる姿であった。

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ハンディキャップに負けずに歌うホオジロ への8件のコメント

  1. 小坊主 より:

    >福祉も無ければ、自殺も無い
    おっしゃる通りです。

  2. C-NA より:

    自然界の動物と違ってペットは人間が守ってやらねばなりません。自殺はしないけど飼い方によっては鬱になったりストレスで毛が抜けたり人間と同じような症状が現れますね。人間が作る環境がいかに動物の一生を左右するかも考えさせられます。
    小さなホオジロ君守ってやれないけど応援しています。

  3. しらとり より:

    たかが足の怪我
    されど足の怪我
    すぐに治るような怪我ならいいのですが
    ひょっとしたらこのホオジロ君には
    致命傷かもしれませんね。自然界は厳しいです。たとえば最近gaku先生が危惧されている疥癬ダニですがペットなら獣医さんで適正な処置をすれば生命までの心配はないのですが自然界では致命傷になりかねない。せめて雛が巣立つまでは元気に生き続けてほしいですね。

  4. もっち より:

    僕がこのホオジロを見ても、「ああ、鳴いているな」くらいで終わってしまうはず。
    ああ、もっともっと洞察力、鍛えたいです。。

  5. 粗忽鷲 より:

    耐えて懸命に。
    爪の垢煎じて投薬したき人々の多きこと。。

  6. guri_45 より:

    もしかしたらメスが暖めているのは、無精卵かもしれません。
    うちにも右足がマヒしたフインチがいるのですが、2年前にマヒする前は盛んに同じカゴのメスと交尾行動をしていましたが、マヒしてからはパッタリとやめてしまいました。……なぜなら、メスの背中にしがみつく事ができないからです。
    せめてこのホオジロが、怪我をする前に交尾を終えていて、ヒナが誕生したらいいなぁと思います。

  7. 小坊主 より:

    おや、そういう事も、あるのですね。
    気がつきませんでした。

  8. gaku より:

    みなさん、こういう野鳥は動物は、かなり多いと思います。
    東京のドバトをみても、脚指のないのがかなりいますから、ね。
    ■guri_45 さん
    そうなんですよ。
    そのことも書きたかったんですが、長くなってしまいますので。
    おっしゃるとおり、怪我をする前の交尾ならちゃんとヒナも生まれること、でしょう。
    その逆だったら、夢精卵か有精卵でも確率は少ないでしょうね。