クリンソウは汚泥がお好き…?


長野県にある高原の観光地。
多くの観光客が訪れる高原は、いま野鳥の声にあふれ初夏の野草が色どっていて清々しい。
その草花のなかにひときわ派手なクリンソウが目に飛び込んできた。
高原の駐車場の横にはヒュッテがあり、観光客が宿泊をしたり食事をしたりしている。
宿泊客はもちろん風呂にも入れるが、その廃水が高原の山林に垂れ流しとなっていた。
そこは国定公園なので、厳密にいえば問題になるところだが、まあここでは難しいハナシはやめておこう。
その廃水の流れる脇に、クリンソウが群生をしていた。
花だけを見れば、かなり美しいクリンソウ。
思わず見とれて、オイラも撮影をしてしまった。
しかし、鼻だけは強烈に不愉快だった。
廃水のドブ臭がきつくて、花を写しているのに鼻はひん曲がりぱなしなのだ。

まあ、それも我慢しながらクリンソウを観察すれば、汚濁水が土壌に滲みこんでいくあたりにいちばん元気に咲き誇っているのがわかった。
どうやらクリンソウは、汚泥を好み、さかんに土壌浄化をしているらしい。
まさに、健気なことではないか。
一般観光客はクリンソウの花はめでても、まさか自分たちの体垢を浄化してくれていることに関連づけて見れる人は皆無だろう。
そういえば、ある山菜は「重金属」を積極的に吸収することが知られている。
その山菜を「美味しいおいしい」といって、私たちは天ぷらにしたりお浸しにして食べてもいる。
植物には、それぞれに適応した生き方をしているものであって、そうした習性を知っておくと、見えない部分の環境までもが見えてくるからおもしろい。
クリンソウもあでやかな赤い花を高原で見せつけてくれなかったら、この廃水のことにもオイラは気づかなかっただろう。
その廃水がいいとか悪いとかでなく、バランスさえ保たれていれば、自然界の植物や生物がかなりの部分を「浄化」してくれているのだ。
それが「環境」なのだと、思った。
まさに、「環」の「境」を知ることだと思った。
ここでの「環」は、体垢とクリンソウ。「境」は、その関係ということになろう。

写真:
1)クリンソウはなかなかに美しい花。
2)右の写真が強烈なドブ臭ただよう廃水源で、左の下流へと流れに沿ってクリンソウは正直に群生しているところがおもしろい。
3)汚水の源流からわずか15mも下がれば、ドブ臭はかなり薄くなり、水にも輝きがみえて清流化に近づいているのはクリンソウが頑張ったからか…。

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クリンソウは汚泥がお好き…? への6件のコメント

  1. C-NA より:

    私たちが踏みしめている大地の底で自然が様々な形で作用しあってこの環境がつくられていることをさりげなく教えてくれるのが多様な生物たちですね。
    花を見てわー綺麗!!と感動するも良し、そこからまた綺麗!のワケを探るのも自然に親しむことの楽しさだと思います。
    今更ですが写真とはそんな想いが伝わるように撮らなくては・・と、こちらのブログにお邪魔するたびに思います。
    10年経って写真は難しい物だとやっと感じるようになりました。これからの写真をどのように撮って行くのかと・・・考えているワタシにワタシが驚いています?!
    生意気いいますとgakuさんの影響なのかも・・・。

  2. gaku より:

    ■C-NA さん
    >gakuさんの影響なのかも・・・。
    いや、自分がいちばんやりたいことを表現していけばいいのではないでしょうか?
    オイラは、自分の好きなことしかやってません、ので、…。

  3. あーる より:

    水洗トイレと下水道の普及で、人間は、自分が臭いものを出す生き物なんだ。ということに目をつぶるようになってしまったんじゃないか、と心配しています。
    臭いものは臭いだけじゃなく、生命のサイクルを支えている。という知識や皮膚感覚がどんどん薄れてしまって、除菌、消臭に邁進する先がこわいです

  4. りえぶー@水俣より より:

    クリンソウの生き方を拝読して‥「風の谷のナウシカ」を思い出しました
    植物がヒトの出した有害なものを浄化してくれる、ナウシカの生きる世界ではちょっとずれてはいるけれど(向こうではヒトに有毒な腐海の植物でした)人間と植物の世界での微妙なバランスと、その境の在り方
    考えさせられます

  5. gaku より:

    ■あーる さん
    >臭いものは臭いだけじゃなく、生命のサイクルを支えている。という知識や皮膚感覚がどんどん薄れてしまって、除菌、消臭に邁進する先がこわいです
    とてもいい表現です。
    まさに、その通りだと思います。
    ■りえぶー@水俣より さん
    >「風の谷のナウシカ」
    自然環境と人間を実によく表しているバイブルと思っていいでしょう。
    水俣湾のご近所にお住まいでしたら、ぜひ「カキ」や「アサリ」など貝類の仕事ぶりを観察してみてください。
    彼らは、汚水、汚泥の浄化活動にはなくてはならない存在ですから。
    ひょっとして、「愛○館」つながり、で?
    そのうちに、また出かけますんで。。

  6. りえぶー@水俣人 より:

    gakuさん、ありがとうございます
    いらっしゃる時はぜひお目にかかりたいと思っています、沢○館長に「お知らせがあったら教えて」と頼んでおきます
    それまでにカキをよく見ておきます