子犬をつれて山陰海岸まで


兵庫県の豊岡市まで、子犬を届けにいってきた。
知り合いのお菓子屋さんの社長が、天然記念物柴犬保存会の犬をぜひ育てたいということだったので旅行がてら山陰海岸まで出かけた次第。
「ヒコボシ」と名付けた子犬は、新しい飼い主のもとでかなり緊張していたが、今後は愛情を一身に受けて元気に育っていくことだろう。
柴犬は生まれ育ったときの主人たちを一生忘れることはないので、今後も山陰地方へ出かけるたびにオイラは子犬に会える楽しみができた。
今回は母親の「ホタル」も連れて行ったので、お互いに子別れはスムースにいった。
そのあと、山陰海岸を鳥取まで行き、そこで知人とも会う。
知人がやってくるまでのひとときを、ホタルのリードを外して「白うさぎ」海岸で遊ぶ。
ホタルは東京で生まれ2ヶ月で秋田へ行き、そこから信州までやってきた。そして、いま山陰海岸で楽しそうに海を眺める姿は、なんだか日本海に縁があるのだろう。
そんなホタルをみて、鳥取の知人も天然記念物柴犬保存会の犬を欲しがった。
ちょうど、ホタルのお相手をした雄犬の子犬が山梨でも産まれているので、その子供を世話することにする。

このような旅の途中でも、オイラはコンビニなどで地元の新聞を買ってはよく目を通すようにしている。
鳥取では、「山陰中央新報」を買ったら島根県でクリ園にきたツキノワグマを捕獲したが麻酔を打った瞬間に暴れだして檻を破って逃げてしまった記事が載っていた。
逃げられた理由などの弁明を県の職員がしていたが、どこもツキノワグマ対策に苦慮していることがわかった。
このあと、帰途の福井県では「福井新聞」を買った。
そこにも、勝山市や大野市でツキノワグマの出没が伝えられていた。
まさに、日本列島「となりのツキノワグマ」状態なのである。
このような報道をみるたびに、ツキノワグマ保護を前提とした行政の対処的な動きはみられるが、だからといって永続的にそれらの地域にツキノワグマがどのくらいいて、どのような動きをしているのかといった科学的な見方をまったくしていないと思った。
これでは、ツキノワグマの出没と被害に遭う地域住民との問題解決には何もならないし、そのことに早く気づいて次なる手段を考えていかなければならず、地域マスコミも含めて人材不足なのだなぁー、と嘆息してしまった。

こうして、信州から中国山地、山陰地方、北陸地方と巡って感じることは、日本の山野を形成する自然環境はすばらしく豊かで広く大きいということに気づく。
ツキノワグマは、この山野にまさにタヌキ並みに高密度生息していることに誰が早く気づくかがポイントだと思った。
敦賀~米原間の北陸自動車道を運転していただけでも、高速道路から3基のイノシシ捕獲檻が目撃できたから、まだまだたくさんの檻が潜んでいることだろう。
こうしたサインひとつとってみても、ツキノワグマがイノシシ檻にも入るのだし、このような檻の数だけ「無人撮影ロボットカメラ」を設置してみればかなりのデータがとれるハズである。
今日の日本列島では、イノシシ、シカ、サルが軒並み増えている現状にありながら、同じ環境に生活するツキノワグマだけが絶滅するほどに数を減らしていると思い込まれている。
そんなことは絶対にありえないことなので、そうしたことに早く気づき調査ができるだけの技術力を全国的に養って欲しいものだ。
このような発想力や技術力を持ち合わせている人材が、いまの日本にはどこの地域にも「いない」のだとオイラは思って見てしまっている。
だから、クマを見たこともないような「専門家」がマスコミに登場してまちがった情報を得々と説明するものだから、国民のすべてが今ある日本の自然環境を確かな視線で見られない逆スパイラルに陥ってしまっているのだ。
これは由々しきこと、なのである。
写真:
1)「白うさぎ海岸」で遊ぶホタル。
2)家では親子がこんなにものんびりしていたが、新しい飼い主のもとで緊張気味の子犬。
3)毎日オイラにはツキノワグマの写真が撮れる。いまでは、タヌキより撮影がラクになった。

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子犬をつれて山陰海岸まで への5件のコメント

  1. みゅう@蝿道 より:

    gakuさんが来られた18日の朝の新聞で、豊岡の農家の方が熊に襲われ怪我をしてたニュースが載ってました。それまでにも、鳥取ではご老人が熊に襲われ亡くなったニュースもありました。森林組合にいる若き知人も、熊が増えすぎて困っていると言いますし、友人の前県民局長も、熊を間引く行為をしようとすると、変な人たちが講義に来ると言って困っています。熊が確実に増えてると知っている人がいるのですが、言えない事情が見え隠れします。ところで、ヒコボシくんはいい子になってきてます。目やにもなくなり極めて順調です。なにより、面倒をみる家族皆にも活気が出てきて嬉しいです。

  2. うどん より:

    野生動物の野放し状態が始まったのは歴史的に考えるといつの事なんでしょうか。
    第二次世界大戦?もしくは高度経済成長期?
    バブル時期?体系的に考えると、時代の転換期があり人の営みの移り変わりが、感覚を鈍化させるのかもしれないですね。
    私は幼い時からの考え方で、昔の人が出来た事は今の時代の人は出来ないと変だという考え方を持っておりますが、実際にいろんな体験を経ると無理だと思う事があります。
    娯楽を覚えると堕ちて行くのは人の性かな。
    便利な世の中はある種の感覚や考え方を鈍化させて行くようですね。

  3. あーる より:

    ヒコボシ、良い名前ですね。
    お嫁さんはオリヒメを探さねば。
    自動車教習所に通っていた時、
    山岳教習のビデオの出だしのナレーションが
    「日本の国土の80%は山である」
    というものでした。
    まあ、標高2〜3000メートルもあるような所は大変だとしても、せめて人口の40%くらいは、山地に住めばいいのに。と、そのとき思ったものです。
    里山からどんどん人が減って、農地がやぶや草むらに変わっていってます。
    数年前までは、地域の道普請で夏は総出で草刈りをしていたのに、数年前から役員が除草剤を撒いて済ませるようになってしまいました。
    「ああ人出不足なんだな。畑襲っても大丈夫だな」と、動物たちは思うんだろうなあ。

  4. しらとり より:

    gaku先生 仔犬がいなくなってさみしくなりますね。仔犬達がみんな幸せになれることを心よりお祈りします。
    ツキノワグマには天敵は人だけですね。
    やはり 以前はオオカミなどの天敵がいて個体数がコントロール出来ていたのでしょうか?この前、ラジオでアナウンサーの奥さんが名古屋市内の自宅前でタヌキを見たと言う話をしていたのですが、夫のアナウンサーは信じていないようでした。でも、確実にタヌキやハクビシンなどは市街地にも生息域を広げています。ツキノワグマも例外ではなく生息域を広げているはずです。行政や専門家は早くちゃんとした調査をするべきだと思います。

  5. gaku より:

    ■みゅう@蝿道 さん
    そうですか、クマの事故があったのならそのニュースもぜひ見たかったです。
    「ヒコボシ」よろしくお願いします、ね。
    ■うどん さん
    おっしゃることは、正論です。
    いまの30代、40代の世代が自然環境に関心があっても、ボクらの時代とは自然の見方がまったく違っています。
    若い世代は、まさに観念的に見てますから、大きなハードルがなかなか越せません。
    ■あーる さん
    「オリヒメ」もいたのですが、彼女は山梨県にもらわれていきました。
    日本は、ほんとうに豊かな森林資源国家です。
    この素晴らしい環境が、なぜにツキノワグマを「絶滅」にさせてしまうのかわかりません。それだけ、日本の国土をきちんと見つめられない国民ばかりだから、だと思います。
    ■しらとり さん
    現在の政令都市など、人口密集地での生物調査はかなり面白いと思います。
    加えて、限界集落などと同時並行的な調査も求められると思うのですが、そういったアイデアすらも湧かないみたいです。
    来年は、御地の近くにも調査カメラを設置して熊の写真を撮影したいとボクは考えています。今年度中には、どこがいいかロケハンしてきます。