ツキノワグマは決して餌不足ではない


この写真は、「となりのツキノワグマ」の109ページに載っている中央アルプス山麓の現場である。
別荘といおうか、山小屋キットといおうか、この現場にこのような建物が建って2年になる。
ここの土地が売りに出されていたらしく、ときどき東海地方ナンバーの車がとまるようになった。
この建物の後ろにあるクルミの木には、ツキノワグマが登ってしっかり枝を折った痕が見える。
クマが、オニグルミの実を食べに登った痕跡なのだ。
まさに、クマ付き別荘地。
この現場は、もうかれこれ10年以上も前からオイラは毎年チェックしている。
10年間、ツキノワグマは毎年確実にここへやってきていることは自信をもって言える。
そのくらい、毎年しっかり観察を繰り返している現場だからである。

今年(2010年)も、ツキノワグマは2週間に分けてこのクルミの木に登った。
10年も観察していれば、登るツキノワグマが毎年代わっていることくらいは分かっている。
それぞれに、個性があり、木登りが得意のものから苦手なものまでいる、からだ。
今年のクマは、木登りが得意な個体だった。

こうして、ツキノワグマが山野の餌を食べていく現場をいろいろたくさん見て知って、毎年チェックをいれているが、巷間言われているところの「餌不足」でやってきているのではないことをしっかりお伝えしておきたいと思う。
それは、ツキノワグマが餌不足なら、バイキンググルメをしないからである。
餌がほんとうに無いのならば、彼らだって贅沢はいっておれない。
多少不味くても、お腹がすいていれば、何でも食べていくハズである。
それなのに毎年、美味しい木の実だけを選んで食べているのだから、餌不足でもなんでもないのである。
このクルミの木でも、周囲にまだたくさん実がついている木もあるのに、毎年必ず登る木とまったく無視をする木があり、ちゃんとバイキングしているからだ。
それは、裏を返せば、餌が豊富にあるからできること、なのである。
そんなちょっとしたことに気づかないまま、「餌不足」だからクマが出没してくるのだといった短絡的な意見を並べ立てるのはフィールドをきちんと見届けていない人の意見だと思う。
山野に、ほんとうに木の実があるのかないのか、それは現場を見ればちゃんとわかることだからである。
いまある日本の国土がどれほどの山林資源に恵まれているのかといったことに気づかないまま、ツキノワグマは絶滅するといって悲観論だけで危機感を煽ることは日本の自然環境を見誤った方向に導いてしまっていると思う。
この写真の現場となっている中央アルプス山麓では、今現在ツキノワグマはタヌキ並みにたくさん生息している。
この高密度は、30年前にくらべれば確実に増えてきていると断言できる。
こうして売り地ができて別荘地になれば、まわりがどんな環境か見えない人種がやってくるからクマともトラブルになってしまうだろう。
豊かな自然環境には、ツキノワグマもマムシもスズメバチもみんなセットになっていることを忘れてもらっては困る。
もちろん、そうした生物が生きるには森林資源も豊かだということに気づいてもらいたい、とも思う。

写真:
1)後ろのクルミの木には、毎年ツキノワグマが確実にやってきている。
2)クルミの枯れた枝をみれば、その枯れぐあいで時間もわかる。
3)体にいっぱい「ひっつき虫」をつけて、クルミの木に登る若い熊。
4)山野にはほんとうに木の実は多い。クリ、クルミ、サルナシ、コナラ、…クマやサルたちが食べきれないほど実っている。

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ツキノワグマは決して餌不足ではない への26件のコメント

  1. もっち より:

    静岡の噛み付きサルや、六甲の山賊イノシシ・・・もう人間を完全に舐めてかかっていますね。
    野生動物も人間様同様、楽な方へと進むのは、当然のことか。。

  2. ユタ より:

    今朝の新聞に今年はブナの実が凶作なので熊が沢山人家の所に出るのでは、そして今年は目撃件数が去年より多いと。どうなのでしょうか、ある意味楽しみです。2ヶ月ほど前すぐ近くに熊が出たけれど前兆かな・・・・。

  3. 小坊主 より:

    自分たちは、碌に調べもせずに、物事を合目的的に断定し、動かぬ証拠を見せられても目を背ける、硬直的な頭脳の持ち主の如何に多い事かと、呆れるばかりです。
    議論という奴、少なくとも、証拠に基づいて、合理的にやりたいものです。

  4. 花柄 より:

    クマが出るたび「今年は餌となる木の実が少ないのでしょうか?」と、必ずのように報道されていますね。クマの餌は木の実と決めているようです。これを聞くたび ちょっと笑ってしまいます。

  5. あーる より:

    どんぐり不作とあっちでもこっちでも報道されてますが、我が家周辺はどんぐりも栗(食べ残しのいがだけ、涙)もたくさん落ちているんだけどなあ。
    ないのはキノコだけです。

  6. 小坊主 より:

    最初は、「餌不足だから、熊が出る。」
    近頃は、「熊が出るから、餌不足なんだ。」

  7. akke より:

    秋田市とその周辺の山は、ブナやナラの実は凶作で実が付いていません。
    でも、先日、民家近くで有害駆除したクマは80Kgを超えており、決してやせこけていませんでした。
    クマは9月に入りクルミやミズキも食べてきました。9月中旬になってやや豊作のクリを盛んに食べています。その他、様々な物を食べていますので、食料不足というのは、今の秋田市とその周辺ではあり得ないと見ています。
    クマ達はシッカリ子孫を残し、良く行く山里の集落では、600mの周囲に5頭位はいると見込んでいます。

  8. うどん より:

    野生動物が人里に降りてくるのは時代、考え方の転換期の前兆かもしれませんね。
    餌不足=人里に降りてくるであるならば、
    人里に降りてきた野生動物=人間側の対処
    と成り、野生動物と人間との垣根が再び形成されるのかも知れませんね。
    もしくは、人間が駆逐されるか…。
    安直な考えと十分認識しておりますが、正に対処の仕方や、考え方を変えないと対処できない時代がやってくるのかも。

  9. akke より:

    一つ上の私のコメントが分かりにくいため、訂正させて頂きます。
    >良く行く山里の集落では、600mの周囲に5頭位はいると見込んでいます。
    ・ほぼ円形に近い集落の周囲約600mに隣接している場所には、5頭位はいると見込んでいます。
    今日、4頭を確認し、2頭は撮影することができました。
    もしかすると、5頭以上いるかもしれません。言われているほど食料不足ではないんです。

  10. gaku より:

    ■もっち さん
    噛みつきサルであのような騒動ですから、地方の密かなるツキノワグマの激増ぶりはタイヘンなことなんですが、ね。
    ■ユタ さん
    ■小坊主 さん
    ■花柄 さん
    ■あーる さん
    ブナ、ドングリの作況だけに結びつける論調は、メディアがいかに判断力を欠いた報道を安易にしまくっているのかがよく分かると思います。
    そして、こういうところに情報を流している「専門家」は自分の技術不足をみなドングリに転嫁しているところがありますね。
    ■akke さん
    >良く行く山里の集落では、600mの周囲に5頭位はいると見込んでいます。
    かなりいい線いっていると思います。
    いや、もっと多いかもしれませんね。
    こちらも、そのくらいの密度は充分にでてきていますので。
    ■うどん さん
    >安直な考えと十分認識しておりますが、正に対処の仕方や、考え方を変えないと対処できない時代がやってくるのかも。
    安直でもなく正論だと思います。
    ほんとうに、考え方を変えないとどうすることもできなくなると思います。
    日本全国40万haの放置農地に対して民主党がテコ入れをすると言ってますが、それ以上に山林の不在地主が誕生しているのですからツキノワグマにとっては天国期を迎えています。
    どこかの愛誤団体が少しばかりの山林をクマのためにトラストしても、その比ではないくらいの原生山林が放置状態になっていく国土ですから。

  11. ①風鈴亭華之介 より:

    先週の水曜日に捕獲した猪。胃袋の中は、米糠でパンパンに膨らんでいました。
    で!腸の中はドングリでいっぱいでした。
    畑のレストラン(米糠;多分肥料とした撒いた、猪餌付?)と自然の食堂(ドングリ)。肉は柔らかく香ばしい\”かほり”のするとても美味な山の幸でした。
    調味料を使用せずに、そのまま備長炭で焼き上げただけで、充分過ぎる自然からの贈り物・・・。猪さんゴメン!
    という事でしたが、米糠レストランには複雑のものを感じます。
    これからは山の自然もかわってくるのかなぁ!・・・・・・。

  12. ①風鈴亭華之介 より:

    あっ!熊のお話に、猪の話を割り込ませてしまったようです。
    ・・・・・・・・\”すまん!\”。

  13. ①風鈴亭華之介 より:

    ちなみに!
    美味なる猪の捕獲場所は・・
    先日、熊の出没した小田原市の根府川近隣の山です。

  14. あーる より:

    杉やヒノキを植林して、又は梅や栗を植えて景気の良い時は収穫もしていたんでしょうが、今はどこかへ行ってしまってほったらかし。
    山を汚くしてる山の持ち主をなにか罰する法律を作って欲しい。
    何年かほったらかしにしていたら、国なり自治体なりが没収できるとか、ちゃんと世話する人にあげちゃうとか、なんとかならんのかなあ。

  15. gaku より:

    ■①風鈴亭華之介 さん
    小田原のイノシシは食べたことがないけれど、たぶん全国どこの地域も美味しいのでしょうね。
    そのイノシシの出汁の出たスープに熊肉をいれて1時間以上とろ火で煮込むと、これもまた美味いですに。
    ■あーる さん
    >何年かほったらかしにしていたら、国なり自治体なりが没収できるとか、ちゃんと世話する人にあげちゃうとか、なんとかならんのかなあ。
    それ、絶対にいい案だと思います。
    オイラがもらっても、草刈りもできないから困るけれど。

  16. 風鈴亭華之介 より:

    ほったらかしの土地は、小生が貰い受けて全部猪牧場にします。
    なぜならば、ほったらかしの荒地は猪たちの絶好の住処になるからですね。
    ドンドン繁殖させて、全国区においしい猪を提供していきたいと思います。
    是非、あーる さんの提案を実行していただけたらいいな~ぁ!と思いますです。
    猪も皆捕まえて牧場で飼育してしまえば農業被害も現象。猪さんも食べられる前までは手前味噌ながら、快適?に暮らせるのではないかと・・・。
    少なくとも、有害駆除の対象になって野山を逃げが回らなくても、ある一定期間は安穏な暮らし?ができるのでは?ないかと思います。
    まぁ!人間てえのはなんと身勝手なことを考えるもので・・。
    猪さんはどう思うでしょうかねぇ・・・。

  17. 風鈴亭華之介 より:

    近い将来、狭い日本の土地有効利用法の法案が、立案されて国会承認⇒立法⇒施行⇒小生の土地⇒いのしし牧場。
    土地が狭い日本の場合⇒土地は皆国有地⇒有効利用者⇒貸与⇒不用地⇒国家に返却⇒理想。
    イッシッシ!(ヨダレ)・・・・。

  18. gaku より:

    ■風鈴亭華之介 さん
    伊豆あたりも、面白そうですね。
    近々、あのへんを観察に行ってきます。
    イノシシ鍋があれば、どこかで食いたい、です。

  19. ①風鈴亭華之介 より:

    猪鍋
    ボタン鍋もGOODですが、しし肉のワイン漬を塩コショウ・にんにく・生姜を使ってごくシンプルな下味で燻製にすると中国語で言うところの「ハンハオ チ!」になります。
    特に、レンガで作った石釜を使用して桜のチップを使った熱薫が、とてもとても美味なるものですぞっ!(ニコ!)

  20. ②風鈴亭華之介 より:

    ちなみに、しし鍋の食えるスタンダード・エリアは天城峠にある\”猪村”で食べられるのではなかろうかと思われます。(まったく、ポピュラーな情報ですが・・・・。)
    尚、当方は、そこでは猪の串焼き食べたので、しし鍋は、スルーでしたが・・・。

  21. 風鈴亭華之介 より:

    ・・・?
    なぜ、レンガで造った石釜にこだわるかというと、燻製ではあるが、レンガの石釜は肉が適度にローストされてしかも燻製されるという弐点一流妙味があるからでござる。
    また、特には\”赤レンガが良いのでござるなはす。

  22. あーる より:

    食べてみたい。。。

  23. gaku より:

    ウチには、よく訓練された「クロネコ」がいます。
    いつでも、行かせますよ風鈴亭華之介さん。

  24. 風鈴亭華之介 より:

    クール便を仕込んであるのでしょうか?ちなみに・・・。(汗)\”クロネコ”の運転手さんは、燻製にはできませんが、捌いて発泡スチロールのトレーに入れてに入れ、ラップまで約3時間程度で可能かと思われますがそれを送るとなると、今度は運転手を探さないといけなくなります。(苦笑)
    したがってお届けするのは、困難だと思います。(確信的笑)
    (飛躍的反省)

  25. 風鈴亭華之介 より:

    前出の件投稿してしまってから後悔と大きな反省。
    ・・・・・・・・・。
    すまん!M(ーOー)M

  26. 風鈴亭華之介 より:

    小田原の猪は、猟犬に追われ、ヒネ猪を除いて、殆ど箱根側の鳥獣保護区に行ってしまったらしい。ちなみにヒネ猪は不味い。しかも獲ってもとんでもない所から回収せねばならん場合が多く非効率的かつ喰えん。従って単なる殺生にナニヌレロ。
    ミカン農家にゃ気の毒ジャガ4月の有害鳥獣駆除まで、御預けじゃナハす。
    3月ごろになるとホトボリガ冷めて畑レストランにお食事にいらっしゃるナス。
    ンダで、駆除は4月かなッす。
    農家もてぇや~へんダハす。
    ・・・!
    ん~ん!
    ムンズカスィ~もんでャ~ッスナハす。