「フクロウ」写真集が出版される


メディアファクトリーから、「フクロウ」HANDY EDITION版の写真集が出版された。
そろそろ、書店に並ぶころだろう。
21cm×22cm 112ページ 1600円。
実は、この本は1989年10月に平凡社から「フクロウ URAL OWL」として出版された大型写真集を再編集したものだ。
平凡社からの写真集は、実に10刷の累計2万部という5000円の写真集としては驚異的な売れ行きをみせた。
うれしいことだったが、20年も経てば絶版の憂き目にあっていた。
その写真集がこのたびメディアファクトリー社からハンディー版で再版されることは、何かとても意味深いものを感じてならない。
一人の女性編集者から「出版できないものだろうか」というメールをいただき、快諾して、とんとん拍子で出版まで漕ぎつけることができた。
まさに、勢いを感じる出版作業だった。
20年前の写真に目をつけてくださった編集者も流石である。
そして、20年経ってもオイラの写真がまったく色あせてなかったことにも、フクロウがこうして機会を授けてくれた因縁のようなものを感じる。
考えてみれば、フクロウを撮影しようと思ったのも夜行性でどんな生活をしているのかまったくベールにつつまれていたものへの挑戦だった。
それは、生態を明かすだけでなく、撮影技術者として自分自身の技を確かめるための挑戦でもあった。
それまでのフクロウといえば、毎年春になれば繁殖するから、巣のまわりだけの姿を夜間撮影すればいいと、進歩なく今日までずっときていた。
それで、あたかもフクロウのことが語り尽くされたような時代が続いてきたからだ。
日本の自然界に、年間を通して生活しているフクロウなのだから、すべての季節にも生きるための意味があるはずである。
それなのに、そうした生活史を見届け撮影できなければ、日本の自然を語ることはできない、とオイラはいつも考えていた。
だから、誰もそれをやらないのなら自分自身でやるしかないと。
結果は、めちゃめちゃに面白く、楽しく、答えを出すことができた。
神秘のベールにつつまれていた夜行性のフクロウが、まるでオイラの手のひらのうえでマジシャンに操られるようにすばらしいモデルとなって演技をしてくれたからである。
それは、生態把握とオイラの持てる技術がぴたりと融合した瞬間でもあった。
こうして出来た写真集が、20年経っていま再び世に問われるのだから、とても意義深いと感じている。
発表して20年も経っているのに、全国から新しいフクロウの写真が出てこなかったということでもあり、それだけ時代に迫れなかったからだろう。
日本人の自然観があまりにも希薄になってきてしまっていることの表れでもあり、写真表現者として写真界にも一石投じれると思っている。

写真:
1)表紙写真はテカリが出てしまって、なかなかに撮影は難しい。それだけ紙質と印刷がいいからである。
2)こんなフクロウとの出会いも懐かしい思い出になっているけれど、10月は一年でもっとも撮影チャンスの多いとき。いまなら、夕方の5時15分には必ずフクロウは出没してくるから、秋の夜長はほんとうにいい写真が連続的に撮れるはず。これが、11月になれば、さらに40分早く出没してくるからね。

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「フクロウ」写真集が出版される への23件のコメント

  1. オーロラ より:

    宮崎学さんを知るきっかけになったのが、まさに、この本の表紙のフクロウ写真でした。わたしにとっても思い出深い、衝撃の一枚です。
    新しいこの本も、ぜひ、手にとってみたいですね。

  2. そらとびねこ より:

    梟は動物園以外では観たことがないのですが、ヨタカの次に興味があるので今日、本屋さんで予\約しました。どんな本がくるのか楽しみです。

  3. gaku より:

    ■オーロラ さん
    新しい本も、親しみのもてるつくりですので、いい本になってますよ。
    ■そらとびねこ さん
    フクロウは、日本列島津々浦々どこにでもたくさん生息しているのですが、夜行性なので一般にはなかなか見る機会が少ないようです。
    ほんとうにたくさんいる野鳥なんですが、ね。
    ご予約ありがとうございました。

  4. しらとり より:

    昨日 近所の本屋さんへ行って週間文春とgaku先生の写真集が何か置いていないか探したのですが、その時NHKの「ダーウィンが来た」の都心のタヌキの特集号を見つけたので立ち読みをしていたのですが一通り見終わった後にタヌキや都心に住む野生動物の写真がgaku先生の写真だと気が付いてビックリしました。都心に住む野生動物だけでも読んだ人が驚くような写真集が出来そうですね。

  5. gaku より:

    ■しらとり さん
    >都心に住む野生動物だけでも読んだ人が驚くような写真集が出来そうですね。
    おお、見てくれましたか。
    なかなかにクオリティー高い、でしょう?
    ボクは、どこに暮らしてもテーマはいつでもありますから、都会も興味の対象にはいっていますよ。

  6. めめちゃん より:

    帯の文章がほっしゃん、というところに
    20年の歳月を感じます…(^-^) 

  7. いち猟師 より:

    こんばんは。
    本テーマとは関係の無い話で申し訳ないのですが、”となりのツキノワグマ”状態最近ホントにすごいですね

    いい加減、日本の皆様は野生動物たち及びよその国の‥、に舐められまくってるのに気付くべきですね。
    所詮世の中は野生も含め適者生存の理屈が正義ですからね。
    今に地方都市辺りは野良クマがでるんじゃないですか?イノシシみたいに。

  8. gaku より:

    ■めめちゃん
    20年の歳月には、深いものを感じます。
    ■いち猟師 さん
    >所詮世の中は野生も含め適者生存の理屈が正義ですからね。
    この適者生存のためにも、ツキノワグマは「増えている」とはどうしても言えない人が大勢いるのも面白い、です。
    それまで、「減っている」と言ってきた人が「増えている」ことを認めた段階で生存権がなくなってしまうからでしょうね?
    今後の推移を見守りましょう。

  9. ホンダのS より:

    昨日、鈴鹿出張の帰りに東京駅前の八重洲ブックセンターに寄りました。ありましたよ「フクロウ」!
    宮崎さんの出版物はすべてサイン入りで所有していないと気の済まないホンダのSは勿論お買い上げ!
    今度お逢いした時にまたサイン入れて下さいね。

  10. gaku より:

    >ホンダのSは勿論お買い上げ!
    おお、ありがとう。
    買ってくれる読者がイチバン。
    サイン、そのうちにしてあげるから。

  11. ホンダのS より:

    21年前に入手したフクロウの巻末の生態説明は他のどんな書物の解説より奥深いものがあり、それを何度も読み返しながらフクロウの1年の暮らしぶりに思いをはせたものです。今回発刊されたHANDY EDITION版の巻末には21年後の宮崎さんのコメントが追記されている。1冊の本に21年の時を越えて著者の文章が共存する。こんな書物見たこと無い!不思議な感覚ですね~。
    ところでホンダのSは目ざとく見つけましたぞっ!1枚が写真が替わってますね!クリの洞から顔を出した雛の写真!なんで替わったのかな?

  12. gaku より:

    >ところでホンダのSは目ざとく見つけましたぞっ!1枚が写真が替わってますね!
    甘い、な!
    もう一枚あるぜ、よ。

  13. ホンダのS より:

    甘い!と言われ、悔しくてウチに戻って早速チェック!・・・ホントだ〜!抱卵してるメスの写真が替わってる〜!でもこちらの写真はほかで見たことある気がするから、朝一通り目を通した時には違和感なくページをめくっちゃったんだ〜。それに対し、雛のほうは本舗初公開ではないですか?こちらはこれまで見たことない写真だったからすぐにアレ?って感じましたもん。
    なぜ写真が替わったか?ホンダのSが推測するに、新旧どちらの写真も撮影タイミングは同じハズだから、初版の写真選びの時は当時宮崎さんがベストと考えたコマを使ったハズ。それが今回置き換わったのだから・・・、判った!原版紛失しちゃったんだ!なんちゃって!

  14. gaku より:

    ■ホンダのS
    >原版紛失しちゃったんだ!なんちゃって!
    そのとおり。。。。

  15. ホンダのS より:

    なんちゃって!、が、そのとおり….
    とは!・・・ダメぢゃ~ん、先生~!

  16. ほた より:

    事実は小説よりも・・・・(笑)

  17. gaku より:

    ■ホンダ&ほた さん
    そういうこと、なので。。。

  18. そらとびねこ より:

    ふくろう写真集getしました。
    美しいですね。本物そのままだと思います。
    いろんな人の鳥の写真を観ますと、やはりカメラマンの思い込みのものが多いですよね。当然そうなるんだと思いますが。
    宮崎さんも思い込みは勿論おありだと思いますが、対象そのものを映しているということろが他の人との差じゃないかなあと勝手に思いました。
    本物はたいてい写真よりも美しいものです。
    (ふくろう観たことないんですが・・・)
    宮崎さんの写真をみてきっと本物のふくろうもこんな風なんだろなあと思いました。

  19. gaku より:

    ■そらとびねこ さん
    「フクロウ」お買い上げありがとうございます。
    本物のフクロウは静と動が混在していて、とても素晴らしいです。
    あの写真のライティングに注目してください。
    光がどこから来ているのかを読み解いていくと面白いです、よ。
    もっとも、あのライティングを思いついたのは、場末のヌード劇場でヒントをもらいましたが。。。

  20. そらとびねこ より:

    あのライティングが不思議でしょうがなかったのですが。真っ暗な森であんなに明るくしていてもフクロウが普通の生活を見せてくれるなんて。

  21. gaku より:

    >真っ暗な森であんなに明るくしていてもフクロウが普通の生活を見せてくれるなんて。
    そこが、オイラのテクニック。
    琵琶湖近辺の林のある村なら、どこでもフクロウの観察はできますよ。

  22. そらとびねこ より:

    どこでも観れる・・・行き当たりばったりじゃなく計画を立てないといけませんね。
    湖岸の松林で水鳥センターの職員が見つけたことがあります。その前年に観たのと同じ個体かもしれないと言っていましたが、写真集をみてそうかもしれないと納得。
    上草野地域には、1000年くらい前からある古い神社に大きな木が沢山あるのでフクロウがいると思うとセンターのスタッフに言われて見に行ったのですが、季節や時間を考えて行かないとダメなんですね。
    クマは3年前に別の神社に出たのしか聞いていませんが、クマがでてもおかしくないような地域なので夜は怖いですね。
    クマ以外は一通り出ます。
    今年いっぱいは東京に居ることになりそうですが高尾あたりでもフクロウを観ることは出きるかしら

  23. gaku より:

    ■そらとびねこ さん
    >どこでも観れる・・・行き当たりばったりじゃなく計画を立てないといけませんね。
    野生の生き物は行き当たりばったりではダメです。
    しっかり計画をたてて、じっくり時間もかけて、出会っていくのがボクの手法です。
    「梟」この漢字にヒントがあります。