「春夏秋冬」歌の文句じゃないけれど…


東京は西新宿のセンタービル中地階にある「ペンタックスフォーラム」で、北海道釧路市在住の窪田正克さんの写真展「知床・世界遺産」が11月8日まで開催されている。
旧知の窪田さんから電話があり、27日の夜はパーティーをするから来てほしいと連絡があったので、初日の10月27日に会場へ顔を出してきた。
ちょうど、都内での仕事もあったから、スケジュール調整をして出かけた次第。
写真展はもちろんのこと、やはり地方に在住して身近な自然の移ろいを写真家のたしかな目線で見ている話がおもしろくて共感もする。
知床では、シャチやマッコウクジラが見られるようになったり、ヒグマもどんどん増えてヒグマの歩く土俵が30年前と現在では在来種から外来種に植物変化がおきているという。
この30年間で、世界遺産の自然界も確実に動いていることを報告してくれた。
こういう話が、オイラにはおもしろくてアンテナにビンビンくるのである。
パーティーは40人ほどの仲間が集まっていた。
そこは、まるで昔あった雑誌「アニマ」の同窓会のようでもあった。
「アニマ」という動物雑誌が平凡社から発刊されたのが1974年。
あの時代は、「日本の自然や動物は滅びる」ことが前提としての雑誌だった。
これには、オイラは違和感を感じていたが、仕事として写真が求められたからたくさんの動物写真を発表してきた。
しかし、今になって振り返ってみても、日本の自然は「滅んでいない」。
そんな夜、当時オイラの先輩で第一線を走って東京に暮らす動物写真家が、「宮崎さん、ツキノワグマはほんとうに少ないらしいね、滅んじゃうっていうじゃん」、と耳打ちしてきた。
また、アニマの編集長をやっていた人間までもが、「ツキノワグマは少ないんでしょう?」という始末。
オイラと窪田さん以外、会場にあつまっていたすべての人間がこんな意見だったのには驚いた。
大都会に暮らしてしまうと、こうも自然を察知する能力がなえてしまうのかと悲しくもなった。
そして、こういう人たちが「発信」のキーパーソンになっていることにも恐ろしさを感じた。
と同時に、逆にオイラは多いに安心もした。
都会と地方との温度差ギャップを逆手にとらないテはない、と。
オイラにとって、これはチャンスだと思ったし、こうしている間に自分の仕事がどんどん完成できると思ったからだ。
帰り道は、国内最大手のフィルムライブラリーの社長と、フリー編集者と新宿駅に向かった。
二人とも、学研のOBで、「子供の学習」とか「子供の科学」を編集していた男たち。
やはり、彼らも現在の自然を見つめる目は「脳止」状態になっていたのを感じた。
まさに30年という時間は、人を変えていくものだとオイラだけが「安心」した。
彼らと歩いているとき、オイラの目にはトップ写真のドバトが目にはいってきた。
新宿駅の夜10時だというのに、ドバトたちは活動していた。
本来ならば眠らなければならない時間帯なのに、電気エネルギーをふんだんに使い眠らない都市をつくりあげてきた21世紀の東京。
この姿がおもしろく、「自然界の報道写真家」であるオイラのアンテナはこのドバトの姿に集中した。
すぐさま、二人の元編集者とも別れて、撮影開始。
撮影中になぜか泉谷しげるの「春夏秋冬」の歌がでてきた。
気分は、きわめて爽快。
写真のタイトルは、
「東京新宿駅西口 2010年10月27日22時00分」。

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「春夏秋冬」歌の文句じゃないけれど… への5件のコメント

  1. oikawa より:

    ドバトは、すごいですね。ホンデュラスでも繁栄している鳥のひとつではないでしょうか。人間社会に食い込んでいく逞しさ、たいしたやつらです。

  2. あーる より:

    アニマ、1978年12月号 を持っています。
    「けもの道」衝撃でした。
    野生の動物たちをあんなにリアルにありありと見せてくれた写真はそれまで無かった!
    当時はクマやシカやイノシシはいっこも写っていないんですね。

  3. アリス より:

    はじめまして、アリスといいます。
    わたしも西新宿駅の鳩ちゃん観察を素人目ですがしたことがあります。
    たくましく気高い姿に励まされました。
    最近こちらを拝読しています。
    楽しみな時間です。
    失礼しました。

  4. 島蛇 より:

    小学生のころ、私はハトをうまく捕まえて丸焼きにして食べたいと思ったものでした。自給自足の生活にあこがれていました。農業をやりたいとも思っていました。

  5. gaku より:

    ■oikawa さん
    ほんと、ドバトはすごいですね。
    でも、ドバトが増えてきたところではオオタカが増えましたから、これもオモシロイ。
    ■あーる さん
    >アニマ、1978年12月号 を持っています。
    >当時はクマやシカやイノシシはいっこも写っていないんですね。
    あの「けもの道」の現場に、再びカメラを設置してみようと考えています。
    ノウサギがゼロとなり、クマやイノシシが登場してくると予測しているからです。
    ■アリス さん
    三丁目、歌舞伎町の深夜のドバトもけっこう面白い、です。
    深夜なりふりかまわず撮影しているオヤジがいれば、たぶんそれはオイラでしょう。
    ■島蛇 さん
    >私はハトをうまく捕まえて丸焼きにして食べたいと思ったものでした。
    ドバトはおいしくないですよ。
    かなり、臭い、です。
    食べたことあります、オイラ。