先日、ある雑誌のインタビューを受けた。
写真家12人をピックアップして、影響をうけた写真集をあげてくださいという企画だった。
オイラは、すかさず「周はじめ」さんの「鳥と森と草原」をあげた。
1960年の初版本だから、50年前の写真集である。
とにかく、この写真集には感銘を受けた。
限られた機材を工夫して、自分の撮影したい絵コンテを完成させていたからだ。
なかでも、トラフズクが夜の枝にとまる瞬間を撮影された写真には、オイラを大きく写真の世界へ導いてくれた。
リコーフレックスという二眼レフカメラでリモコン撮影をしたものだった。
しかも、どちらから飛来してくるかもわからないトラフズクを2台のカメラで前後から狙った念のいれよう。
一発勝負に賭けた周さんの気持ちが、この2枚からでもよくわかる。
カメラは二眼レフだから、レンズはもちろん75mmの標準である。
これで、これほどまでにすばらしい写真が撮れるということをオイラにこの一枚が教えてくれたのだった。
この写真がきっかけでオイラは、カメラを必ずしも手で持たなくてもいいものだということを悟った。
以来、このスタンスがオイラの写真家人生の基本になっている。
あのころに比べたら、機材の進歩はすばらしいものがあるが、今日でも周さんの写真集が輝いているところをみれば、プロアマを問わず、みんな機材に振り回されていることを実感する。
撮影する以前の問題で、対象物をじっくり観察して練っていないからだ。
そんな「周はじめ」さんも、いまは故人になられてしまった。
晩年、新宿で数回ご一緒して酒を飲んだこともあったが、やはりいつも新しい言葉の表現をされていた。
若い女の子を日替わりで連れていたけれども、格好いい爺さんだからできたことだろう。
周さんには心から感謝しているし、いまでもこの写真集を開いて、オイラは姿勢を勉強させてもらっている。
写真:
1)周さんのトラフズクのイメージで、このフクロウをデジタルカメラで撮影した。
2)このトラフズクの2枚が、オイラの撮影スタンスを決めさせてくれた。
3)「鳥と森と草原」は、当時で1000円。いまでいえば、1万円ほどの価値があっただろう。
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60年というと僕が生まれる前の話ですね。
すごい方だと思います。
僕が一番最初に影響を受けたのは、桜井淳史さんです。小学校の頃、魚の雑誌で発表されていた写真には、かなりまいっていました。
ご無沙汰してます。
gaku先生も影響されたとは存じませんでした。
久し振りに私も「鳥と森と草原」を本棚から取り出し,あらためて眺めましたが,その先進的で我が道を行く写真は心を捉えて離しません。
これが私が生まれた年に出版されたとは驚きです。
周はじめさんがお元気でいらっしゃるとの噂を古書店で耳にしたのも,もう20年前。既に鬼籍に入られたとは,残念でなりません...
「周はじめ」さんの「鳥と森と草原」アマゾンでさっそく注文しました。到着が楽しみです。最近は古書もネットで入手できるので、便利ですね。
「周さん」私は存じませんが、影響を受けられた人物として興味深く拝見いたしました。
そういった人物に「出会う」と言うことは、少年・青年期において非常に大事なことだと思います。
私が「野鳥」に興味を持ち出したのは、高校時代に、「野鳥の観察」(kappa books)信州大学 宮崎教授著
を呼んでからです。
写真はなく、イラストでした。
「恐竜」のようなキセキレイのイラストは忘れられません。
■oikawa さん
>60年というと僕が生まれる前の話ですね。
そんなに、若かったの?
■ナカムラ さん
持っておられたんですね「鳥と森と草原」。
「原野の四季牧場の四季」も、いいですね。
■寒立馬 さん
まだ、注文できましたか?
それは、よかったです。
■take1 さん
>信州大学 宮崎教授著
そんな人いましたっけ?
今、職場の文芸誌に投稿するため、周はじめさんについて、彼の生い立ちや西別での暮らし、作品紹介、川村兼史研究など、まとめています。
「原野の四季牧場の四季」は持っておりませんでした。今では入手が容易ではないようですが,探すのが楽しみです。お教え頂き有難うございました。