「観察自然」は語る


忙しい合間を縫っても、オイラはふっと気を抜くときもある。
そんなときは、柴犬を連れて山野へでかける。
昨日も、かなり夕闇の迫るなかを天竜川へ行ってきた。
散歩では、柴犬のリードも首輪も解いて、自由に走りまわらせてあげる。
黒柴だから、夕闇が迫るとどこにいるのかも分からなくなるが、それでもこの犬とはもう4年も付き合ってきているので「阿吽の呼吸」で散歩ができる。

柴犬は好きなように走り回って冷たい水にも飛び込んだりしている。
オイラも、河原を好きなように歩く。
それでも、オイラの目には自然界からのいろんな「サイン」が飛び込んでくる。

数年前から、天竜川にもニホンジカが定着していることは知っていたが、濡れた砂のうえには新しい子ジカの足跡が増えていた。

そのまた水辺には、イタチの足跡もあった。
イタチも確実にこの水辺を徘徊していることがわかった。
日本の野生動物撮影でイタチはもっとも撮影難易度の高い動物だから、足跡確認はとても重要なこと。

そして、テトラの上にはカワセミの糞もあった。
これだけの糞を観察すれば、このテトラがカワセミの待ち伏せ猟に普段からつかわれていることがすぐにわかる。
たった、100mほどを歩いただけで、これだけのサインが読める。
浄土宗に「観察自然=かんざつじねん」という言葉があるが、まさに自然は日々観察だと思う。
こちらが観察する目をもっていなければ、自然からの語りかけはすべてがスルーとなるだろう。
「黙して語らない自然」ではあるが、サインだけは絶えず出されているので、そうしたちょっとした語りに出会うことをオイラはいちばん大切にしている。
このようなサインに気づくには無我となることがいちばんなのだが、縄文時代から人間と共に生きてきた日本犬の柴犬がオイラのパートナーとしていろんなキッカケをつくってくれることもありがたい。

日の短いいまの季節だから、帰路は真っ暗になってしまった。
でも、ちょっとした観察結果を胸にしまえば、オイラのなかには撮影の「絵コンテ」がどんどん湧きあがってくる。
こうした絵コンテのために、必要なカメラやレンズを中古で探し回ってくるからすでに手元には30台以上の一眼デジカメがある。
先日も、上京した折に4200円でショートズームレンズを買ってきた。
どこの誰が使っていたのか分からないが、このようなレンズやカメラでオイラは作品づくりをしているのである。
だって、足跡や糞といったサインを見つけても、それが雄なのか雌なのか、どんな毛色をしていて健康状態はどうなのか…、そのようなことは撮影して直接観察してみなければ分からないからだ。
オイラの機材は、「観察自然」のそのためのツールだからである。

カテゴリー: 哺乳類・野生動物   パーマリンク

「観察自然」は語る への3件のコメント

  1. そらとびねこ より:

    イタチが、撮影しずらいとは知りませんでした。というのは湖北の、ある川沿いの土手を走ると、よくイタチを見ましたし、田んぼの中を走っていても見かけました。驚いたのは、うちから歩いて2分くらいのナンデモ屋さんで店主と立ち話をしていたら、奥でズリッ、ズリッと変な音がしていて店主が飛んで行ったらイタチが、プレートにパックされたウナギの蒲焼きを引きずっていくところでした。それを隅に片付けてまた話し込んでいたら、またズリッズリッと音がして、再び引きずっていこうとしていました。
    うちの前の川に掛かる橋の下の屋根状の部分には、カワセミの白い糞が沢山付いていて、河原でカワセミをよく見かけました。
    でもGakuさんのような視点をもって見ていませんでしたね。思えば、もったいないことしてました。生まれて初めて見るいきものに、やたら興奮するばっかり。
    一歩進んでみれば、もっと深く面白いことが見えてくるのですね

  2. しらとり より:

    ホタルちゃん 今年は出産もして子犬たちもしっかり育てて 母犬としての役目も果たして 今はまたgaku先生のお供と大活躍ですね。僕の所ではうちの犬達がことごとく繁殖に失敗して寂しい一年でした。
    この前、配達中に信号待ちでふと横のどぶ川を見ると水辺のちょっとした草むらにイタチがピョンピョン跳ねていました。最初草むらから頭だけが見えていたのですが、信号が替わる頃には時には草むらから出てきました。仕事中だったのでカメラを持っていなかったのを悔やみましたが、gaku先生がイタチの撮影は困難と言うのを見てよけいに悔しくなりました。

  3. gaku より:

    ■そらとびねこ さん
    鰻の蒲焼を盗んでいくイタチとは、なかなかに幸せモンですね。
    オイラも、イタチを手なずけて「鰻の蒲焼」食わせてもらいたい、ものです。
    で、イタチの撮影は、ほんとうに難しいんですよ。
    ■しらとり さん
    はい、ホタルはおばさんになってきて、最近はかなり悪知恵も働き「脱走」という遊びを覚えてしまっています。
    いま、東海地方でイタチをやっていますので、まもなくバッチリ撮影ができると思います。